所長ブログ

貸倒引当金の設定による節税⑦(個別評価金銭債権③)

投稿者: shigeru yamada [ 2009 年 2 月 11 日 ]
カテゴリ: 決算直前の節税対策

先日から行っていた税理士の登録時研修が終わりました!

千駄ヶ谷の税理士会館で三日間ほぼ缶詰状態でしたが、仕事をする上でのコンプライアンスを中心に勉強させて頂きました。

本当はこの研修、その名前の通り「登録時」に行うものなのですが、なかなか都合が付かず独立して一年以上経過してからの参加となりました。

研修も終わり晴れて一人前(?)になったので、これから確定申告時期へ向けて頑張っていきたいです(^-^)

 

では本題です。

今日は【個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の設定事由の三つ目】についてです。

三つ目の設定事由は下記となっています。

個別評価金銭債権(前々回と前回の規定の適用を受けた場合を除く)の債務者につき、会社更生法の規定による更生手続開始の申立て等の一定の事実が生じている場合には、下記の金額を貸倒引当金として設定できる。

<(対象金銭債権)-(債務者から受け入れた金額があるため実質的に債権とみられない金額)-(担保権の実行、金融機関等の保証債務の履行その他により取立て等の見込みがある金額)> ×50%

上記で言う「一定の事実」とは下記をいいます。

1.会社更生法又は金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定によ
  る更生手続開始の申し立て

2.民事再生法の規定による再生手続等開始の申立て

3.破産法の規定による破産の申立て

4.会社法の規定による特別清算開始の申立て

5.手形交換所による取引停止処分

 

また算式中の「実質的に債権とみられない金額」とは主に下記のものを言います。

1.同一人に対する売掛金又は受取手形と買掛金がある場合の、その売掛金又
  は受取手形の金額のうち、買掛金の金額に相当する金額

2.同一人に対する売掛金と、その者から受け入れた借入金がある場合の、その
  売掛金の金額のうち借入金の額に相当する金額

3.その他一定の金額(法人税法基本通達11-2-9)

 

この事由による貸倒引当金の設定は、将来的に貸し倒れる可能性が極めて高い債権ではあるが、現時点ではその事実が確定していないような場合に、その債権金額の50%を事前に計上し将来に備えるためのものです。

会社の清算等には長期間を要するものが多く、貸倒損失が確定するのを待っていたら、事実上回収不可能な債権が会社の財産として計上されて続け、適正な財務状態が表示されません。

よって取引先に上記のような事実が生じた場合には「節税」と「適正な財務状態の表示」のために、貸倒引当金の設定をご検討頂ければと思います。

明日は【個別評価金銭債権の最後の設定事由】についてご説明します。

それではまた明日(^O^)/